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2010年1月29日 (金)

夢になった構想

戸部さんが逝ってしまった。
そのことが、まだ頭の中を駆け巡って、
信じられない想いに突き上げられています。

親族以外で、
こんなに哀しい別れは、めったにありません。

戸部さん・・・

2年前の秋、香川県の県民フォーラムの基調講演に
戸部さんをお呼びするためのお手伝いをして、
前日、当日と、久しぶりにゆっくり戸部さんと行動をともにして
いろんな話をしましたっけ。

講演会の日の午前中、
ぜひノブやノブ父に再会したいって言ってくれたので、
彼らの遊んでるテニスコートに二人で行きました。
小雨がぱらつく、寒いコートで、
1時間くらい、次なる構想についての話をしましたね。

戸部さん、「描くまで、秘密よ」って笑ってたけど、
少しなら書いてもいいかしら。そのとき二人で話したことを・・。

戸部さんにワタシから提案したこと。
★話の中で気になることが一つある。それは、光くんが謝っているシーンが描かれていないこと。

~確かに、保育園時代に「ごめんなさい」というのはあったけど、それ以外のところでは、幸子さんが謝り、説明しているけど、光くん自身を前に出し、彼自身に謝らせているシーンが、そういえば、ない。

戸部さんも、それは気にしていたね。
自閉症児ということの前に、障がいがあるということの前に、まず、人としてのしつけの部分がどうなんだろう、って。
でも、それを描いたときの反響がわからないから、描くのを躊躇しているんだ・・・って、言ってたね。
一般的な子育ての中では、どんな理由があるにせよ、いけないことをしたら、まずは自分自身で謝る。説明や主張はそのあと。社会性を身につけるというのは、そういう一歩から始まるものだと、無意識に、人は子供を育てていくものだと思うのよね。
(それすら、できていない人が多くなってきているのも事実だけどね)
そういう点で、戸部さんと私の考え方は一致していた。

後は描き方。

で、二つの案が出たのよね。
★今までも、幸子さんはやっていた、ただ、描いていなかっただけ。で、中学生になった光くんのどこかのシーンで、今までもやってたという流れで出してみる。
★幸子さんもダメダメなところがあって、実はその部分を自分でも気づいていなかった。で、何かのアクシデントとか出会いで、気づく。

ワタシはぜひ、後者で描いてほしいとお願いしたよね。

幸子さんは完璧な母じゃないほうがいい。気づかず、自閉症としての光くんばかりに目がいっていた。そこを少し是正できる内容にしていってほしい、と話したっけ。
戸部さんは、どんな反響になるかなぁって心配していたけど、そのあと、それも楽しみかなって言ってたね。

ワタシはとても楽しみにしていた。
本当に楽しみにしていた。

物語の中で、光くんが社会に旅立つための、人としての当たり前のことを、彼にわかる形で幸子さんが伝えていく姿が、また深みを増すと思って、すごく楽しみにしていた。

戸部さん、

光くんを大人にする前に、旅立った戸部さん。

大丈夫。
それぞれの「光くん」は、大人になっていくよ。
戸部さんが教えてくれた、伝えてくれたことを大切にしながら、
大人になっていくよ。

戸部さん、

でもね、
実はワタシ、
「アナンの地球」が
あなたの作品の中で、
一番のお気に入りだったって、
知らなかったでしょう?(笑)

安らかにお眠り下さい。
もう締め切りに追われることも、ないからね・・・・・

大好きでした。戸部さん。

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